NHKスペシャル 「エジプト発掘 第1集」見ながらメモ。

ギザ台地に建築された三大ピラミッドのうち、最大のものは内部に残された書き込みからクフ王の在位時に建築されたとされています。

クフ王の在位は紀元前2589年〜前2566年。

この時代に人の力だけでどのようにして一個2.5tもある石灰岩を300万個も運んだのだろうか。

最近、ピラミッドの近くにピラミッド建築労働者達の村の遺跡が発見された。

その規模と発見された人骨の数から約4000人が住んでいたと推測される。

そしてヘロドトスはクフ王のピラミッドは20年で造られたと記述している。(ヘロドトスさんの信憑性はさておき)


1つ目の謎。

ピラミッド建築に使われた石灰岩1個2.5t300万個の石を運び上げた方法は?

木製のそりに石を載せ、ロープで結んで運ばれた事は判明しているが、4000人が20年で完成させたとすると、1日に12時間働いても2分間に1個の石を運んだ計算になる。

従来の説は二つ。

1.直線傾斜路説の問題

ピラミッドに向けて一本のまっすぐな傾斜路を作り、石を引き上げたのでは?

2tの石を運び上げるには5度の傾斜が限界であり、ピラミッドの頂上に達するには1.6kmまで傾斜路を伸ばさなければならない。

その傾斜路をつくるのには、ピラミッドと同じ量の石材が必要となるので現実的ではない。

そしてピラミッドから500m離れた場所にある「石切り場」との関係が不自然となる。

直線の傾斜路では石切り場から切り出した石は傾斜路の入口に入るのに迂回しなければならなくなり、効率が悪くなる。


2.らせん傾斜路説の問題

石切り場との位置は良い。

だが日中は50℃にもなる暑いエジプトではピラミッドの外側にらせん状につくられた細い傾斜路では砂嵐などで転落の危険がある。

ピラミッドを真っ直ぐに建築しようとすれば、地上から常にピラミッドの稜線を計測し続けなければならない。

らせん状に走る外側の傾斜路では、ピラミッドの稜線が傾斜路に隠れて計測し続ける事が出来ない。


ウーダン氏はピラミッド表面に残る白い筋に注目した。

白い筋の先、従来は石の崩れた跡だとされていた、ピラミッドの四隅に見られるくぼみにも意味があるのではないだろうか?

ウーダン氏の提唱する「内部トンネル説」

ピラミッド建築は1/3までは直線傾斜路を使って石を積み上げ、残りの2/3はピラミッド内部に作られたトンネルによって石が運ばれたのでは?

ピラミッド内部に4度の傾斜でらせん状に通路を作り、そりで運んで石を積み上げる。一定の高さになるとトンネルを伸ばし、ピラミッドの石材を運びあげて行く。

トンネルの角にも工夫。ピラミッドの四隅にある正方形の広場で、釣瓶のような器械を使って方向転換して、内部のトンネルを昇ってゆく。

ウーダン氏によると内部トンネルの総延長は1.6kmにおよび、ピラミッド内に今も残ってるのではないだろうか。


エジプト学の権威ボブ・ブライアー博士がウーダン氏をアブ・グラブ神殿へ案内する。

アブ・グラブ神殿の遺跡には、高さ5m幅4mほどと推定される内部トンネルの痕跡が残っていた。

ピラミッド建設と同時代に内部トンネルを作る技術があった。


1986年に重力計を使い、ピラミッド内部の重力の測定を行ったフランス調査隊のピラミッドの調査結果を聞きに行く。

ピラミッドの中と外、754か所で詳細な調査が行われた。

フランス国立理工科学校

物理学者フゥイ・ドゥォン・ビュイ博士よると、ピラミッド内にらせん状の15%の未知の空洞があり、内部トンネルと一致する。


謎2.王の間の天井にある巨大な石の秘密。

5層構造43この花崗岩が地上60mビル15階に相当する王の間の天井に積み重ねられていた。

一つ60tの重さのある花崗岩をどうやって運び上げたのか。

60tの花崗岩は600人で運んだのでは、とウーダン氏は試算した。

だがピラミッドの角のくぼみには600人が載れるスペースは無く、石を引っ張って角を曲がることは出来ないので、内部トンネルで60tの石を運ぶ事は不可能である。

では、どうやって60tの石を運んだのか?

ウーダン氏は王の間の手前の大回廊の巨大な空間に、60tの石を運んだヒントがあるのではないかと考えた。

大回廊の傾斜角度はおよそ26度であり、人が歩くにはあまりにも急勾配である。

足元にある石の側面には前後に摺られたような跡があり、大回廊の入り口から出口まで一直線に走っている。

また、大回廊の上に内側にせりだし3段目の石の角が欠けていた。

これらの痕跡から、ウーダン氏は大回廊に台車が走っていたのではないかと考えた。

傾斜がきついのは台車の滑りを良くするためであり、釣り合い錘を使って60tの石を運び上げたのでは。

大回廊に釣り合い錘の載った台車が走っており、反対側の斜面から60tの石を載せた運搬台をロープで結んで引き上げたのではないかと推測した。

エレベーターと同じ仕組みがピラミッドの内部にもあったのではないか。

大回廊の長い傷と黒い染みが付いていた。

黒いシミは重い石を運ぶ際に使われた潤滑油の痕跡ではないか。

大回廊の左右にあった長さ50センチの不思議な溝は、木枠が入っていて台車のスピードを制御したものではないだろうか?

ボブ・ブライアー博士によると、台車とロープの強度の検証があればエレベーター説の信憑性が増すとのこと。

コンピューターで強度計算が出来る画期的なソフトを開発している企業へ持ち込んだ。

強度計算をリシェール・ブライトナー氏がシュミレーションする。

使われた木材はレバノン杉、結んだロープは最も強度のあったナツメヤシで、24.5tの釣り合い重りを繋いで60tの花崗岩を運べるか。

コンピューターでの検証の結果、橇を作った木材が壊れる事も無くロープも切れないことが分った。

また、石材を引き上げるのに必要とされていた600人と試算されていた労働者も、158人で済むとシュミレートされた。

機械工学の視点からは、内部トンネル説は充分に可能である。


更にウーダン氏の説を後押しする発見があった。

ピラミッド稜線上にある「謎のくぼみ」の調査を、考古学者ボブ・ブライアー博士に専門家としての視点で調査依頼した。

ブライアー博士がピラミッドに登って調査したところ、地上から87mにある「くぼみ」には高さ8mの直角に切り込まれた石積みのある、広さ縦5m×横5mの平らな空間が広がっていた。これは内部トンネルが交差する場所ではないだろうか?

ウーダン氏の予想では、稜線一つに付いて5か所トンネルが交差する場所が存在する。

また、くぼみから内部に続く高さ2.5m横幅3mほどの空洞が続いていた。

奥に3m程進むと行き止まりになったが、壁の向こうに続く溝があった。

行き止まりになったのは古代エジプト人が石で塞いだのではないだろうか?



……画像を使わないでピラミッドの建設方法を説明しようという試みは、無謀以外の何物でもない事が分りました……