トリノ・エジプト展

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図録の表紙です。


9時の開展と同時に入場できました。
閲覧するために少し並んではいましたが、さほど混雑はしていません。
家人と二人、音声ガイドを一つずつ借りまして閲覧スタートです。

……しょっぱなからトトメス3世陛下のシリア遠征パピルスって!
遠路はるばる辿りついたばかりのワタクシを萌え殺すおつもりですか!トリノ博物館!
ああもう、スタッフの方!内緒で写真を一枚撮らせてくださいぃぃ〜(←写真撮影厳禁)
頼みますこのとおり一生のお願いです〜(←バカ)

へばりつきそうになるのを、家人に引っ張られて次の展示品へ。
敵を打ち据えるラムセス3世陛下のオストラコン、かっこ良すぎ!
あと書記のパレットや書記の筆入れ等にへばりついて、閲覧の行列を乱しまくりでした。スミマセン、後ろの皆様……

そんなこんなで、家人に引きずられて次の彫像ギャラリーに移動しまして。
まずはプタハ様にご挨拶。
そして通路の真ん中にでん!と置いてあるカエムワセト王子の石棺の蓋にびっくりしました。
でかい!でかすぎる!これが蓋ですか?!
上で寝っころがってお昼寝ができる大きさです。しかもコレ、カエムワセト王子の上半身しかないのに。
全身分の石棺だったら、と想像すると……でっかいわぁ。

セクメト様二体にお目にかかり、イビの石棺へ。
その装飾の細かさと麗しさにうっとりいたしました。
真っ黒なイビの石棺は変成硬砂岩で出来ているそうですが、とても砂岩とは思えないような艶やかな光沢を持っています。
棺全体に刻まれたヒエログリフの美しいこと!左右対象に配置されたイシス・ネフティス、ホルス・セト等の神々の御姿も凄く端正です。

巨大なオシリスさまの頭部をみて、ついに白く輝くアメン神とツタン陛下の石像と御対面。
石灰岩で造られたツタンカーメンがアメン神を頼っている様子を写し取っている像だとか。
なるほど、後ろから見るとツタン陛下の手がアメン神の背後に回されています。
でも台座を見るとツタン陛下の名前じゃないんですよね。ホルエムへブ王が削って自分の名前を刻み直してしまったとか。(ジェセルケペルゥラーセテプエンラー・メリィアメンホルエムヘブって書いてあった)
うーん、昔の王は結構こういう事をしたと耳にします。(ex.ラムセス二世とかラムセス二世とか)
他の方の業績を横取りしちゃいけません。
しばし権力の座を交代させられてしまった者の悲哀を感じながら、ツタン陛下に拝謁致しまして二階へGOです。

二階へ上がって一番最初は、副葬品の展示です。
バステト様やホルス様、各種神様の像や各種ステラ家族の像などを閲覧しまして、一番奥にありました〜!
死者の書、第125章否定告白の場面です!
プトレマイオス朝に書かれた死者の書ですが、凄く精緻な描写でした。
これが葦の筆で書かれたの?と疑うぐらいに細かい!とっても綺麗なヒエログリフです。
否定告白の後にはトト神による心臓の計測場面があり、オシリス神の前に死者が引き据えられています。
「わあ、トトさま分身の術使ってる〜」とか、「アメミトちゃんが小さくてかわいい!」などと言いながらかぶりつきです。
「もうここに捨てて行ってくれ、昼ご飯いらないからずっとこれ見てるぅ〜」などと駄々を捏ねましたが、やはり家人に引きずられて次の展示室へ。

次の展示室には木棺類が展示されていました。カノポス壷やシャブティ像もこちら。
圧巻はタバクエンコンスの人型棺!
コレだけでも来た価値がありました!凄く精緻な文様がびっしりと描かれた人型棺です。
女性らしく長い髪を巻き髪にしたお顔はとても凛々しく美人でいらっしゃいます(サフ基準)。
胸の上に大きく翼を広げたムト女神に護られ、再生の印のケペリ神が胸の中央、と腹部の中央、左右にイシス女神とネフティス女神が描かれていて、とにかく細かくて綺麗!
あの一つ一つの模様が印伝のように盛り上がっているのは、どうやって描いているんだろう?

あといくつかの木棺を見てまわり、最後に古いタイプ(中王国時代)の四角いメレルの彩色木棺とにらめっこをしました。

次の展示室へ進み、ホルエムヘブ(王様じゃない方の)墓の入り口を見てから対面したのが、子供のミイラとハルワの人型棺とミイラです。
子供のミイラもハルワのミイラも完全に亜麻布に被われていて、中の遺骸を見ることは出来ません。そのかわり、イタリア警察がCTスキャンにかけて復顔した石膏像が展示されていました。
ちょっと厳しい顔をした壮年の男性の顔です。
あの亜麻布の下には、こういう御顔の人が眠っているんだなぁ、と妙に感慨深く拝見しました。

トリノ・エジプト展の展示物は、新王国時代〜プトレマイオス朝の遺物が中心。
時間を忘れて、一つ一つの遺物を見入ってしまいました。


コレだけは絶対見るべし!と挙げるなら、イビの石棺と、アメン神とツタン陛下の石像と、死者の書と、タバクエンコンスの人型棺かな。(かなり偏った選択です)
ああでも他のも全部見ておかなきゃ〜!


……スンマセン。音声ガイド半分ぐらいしか聞きませんでした。
沢村さんゴメンナサイ。


ミュージアムショップは全ての展示室の後にありました。
そこでしばし理性を忘れ、ヒエログリフ関連の本を買い漁ろうとして正気に戻る。
……これ、ウチ帰ってからアマゾンでも買えるじゃん?
というわけで、ここでしか買えそうもないモノを買ってきました。

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黄金棺のボオルペン。