海のエジプト展

体感時間1時間半、実質3時間をトリノ・エジプト展で費やしました。
別動隊と合流して昼食をとり、「さて、これからどうする?」と訊かれて「よ、横浜に行ってくださいませ」即答です。
上野から高速を通って横浜までの道のりは全く混雑も無く(というか、通行量がめちゃくちゃ少なくて)三十分余りでパシフィコ横浜に到着です。
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図録の表紙です。


まず思ったのが、「広っ!」
田舎者には広すぎます。パシフィコ横浜。なんだか心細くなっちゃいます。

土曜日でしたが午後のせいか、チケットを買うのにも行列はありませんでした。
入ってすぐのエントランスで巨大スクリーンが「海のエジプト展」のデモ映像を流しています。
「おお、すごく金かけてある!」……下世話な感想でスミマセン。
いや、薄暗くて狭いトリノ展を見た後だから余計にそう思うのかも知れませんが。

まず目に入ったのがオシリス神のカノポス壺。
長い間海の中にあったせいか、全体的に磨滅しています。
セラピス神の頭部とイシス女神の像も同様に磨滅して原型が怪しくなっちゃって、水の力を感じさせます。
各種スフィンクスも頭がもげたり、所々欠けちゃったりして、長年海の中にあったことを物語っています。

デカンの祠堂等も拝見しましたが、この会場で一番「おおっ!」と思ったのがプトレマイオス8世のステラです。
高さ6メートルをこえ、一際大きな存在感を放っていました。
地震により倒壊、長い間海水の中にあったので摩耗も激しく、判読できるヒエログリフも少ないのですが、伝統的なステラの特徴である半円形の上部に巨大な翼が刻まれていました。
やはり古代エジプトと言えば石造物の巨大さに圧倒されます。

そのあと、くだんのハピ像、王像、王妃像を拝見です。
ハピ様に拝謁したあと、王様像の説明を読みました。

……(ー’`ー;)

二重冠は、ファラオ支配による2国の統一を象徴し、新王国時代の王像では一般的なものである。しかし普通はネメス頭巾の上にかぶられており、頭の上に直接かぶっているのは珍しい。

図録p.116より

ネメス頭巾f:id:sahrmn:20090810083320j:imageと、二重冠f:id:sahrmn:20090810083347j:imageですか。

珍しくないべ。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fb/GD-EG-Louxor-109.JPG
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/53/Psammetique_Ier_TPabasa.jpg

そりゃ確かにネメスと二重冠をかぶってらっしゃる王様もたくさんいらっしゃいますが。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f7/Pharaoh_Akhenaten.jpg

ワタクシなどは二重冠は直接かぶるものだと思い込んでいたぐらいです。



あと、会場で気になったのが、大々的に「エジプトの神々」をして掲示されていたイラストです。
オシリスやイシスなどを分かりやすく紹介しているのは良いのですが、

……どうしてそこで!
なんでそこで、ゲブ・セベク神なんですか!

そりゃ、ゲブセベク神はコムオンボで信仰されていた神様なんですが、どうしてもマイナーな習合だという感は否めません。
ああ、ゲブ神の頭部がセベク神のワニになっちゃってますよ。
ぶっちゃけ、ゲブさまはガチョウじゃなきゃイヤだ!(←ワガママモノ)

同様に、どうしてそこでシュウ・オヌリス神なの?!なんでシュウとオヌリスをくっつけちゃうんですか!
確かに習合はしたらしいけど、古代エジプトの神様達って習合してないほうが少ないんだろうけど。
シュウとオヌリス、別々の神として紹介しちゃマズイんですか!?
なんで、こういう会場でマイナーな習合を紹介しちゃうんだろう?

……うーん。プトレマイオス朝では、ゲブセベク神やシュウオヌリス神の方がメジャーだったんだろか。


そんな事をぶつくさ言いながら、ネクタネボ一世のステラへ進みます。

ネクタネボ一世は末期王朝時代、第三十王朝の王様です。
時代が若いということもあるんでしょうか、ものすごく綺麗なステラです。
しばらくうっとりと眺めてしまいました。

そのあと、古代エジプトの香りを体験したり、バーチャル映像を眺めたりして、約三時間会場を見てまわりました。
テンションの高さが違うのは……す、すみません。プトレマイオス朝は範囲外なんです。

ミュージアムショップでは図録を購入しました。

そして家人と一緒にガチャガチャにトライ!
出てきたのは、
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どうやら我が家は、オシリス神カノポス壺に御縁があるようです。