不滅の星と疲れを知らぬ星々

新サイトの名前「ikhmw-wrdj」ですが、これは直訳すると「疲れを知らぬ星々」という意味のヒエログリフです。
これに相対するヒエログリフとして、周極星を意味する「ikhm-sk」(直訳すると「不滅の星」)があります。

「ikhmw-wrdj」というサイト名にするに至った理由として、私のHNがオリオン座を意味する古代エジプト語「sah」であること、それにちなんでサイトアドレスをシリウス星を意味する「spdt」にしたことから、「南天の星」を意味する「ikhmw-wrdj」が適当だろう、と思っていたのですが。


西村先生から、
「ikhm-sk」は「地平線下に沈まない北天の周極星」であること、
「ikhmw-wrdj」は「地平線下に沈まない南天の星々」であることをご指摘いただきました。
これらはピラミッドテキストにそういった記述が残されているそうです。

でも、ちょっと変だと思いませんか?
「地平線下に沈まない北天の周極星」は北極星の事ですから、地平線下に沈まないのは理解できます。
でも、「地平線下に沈まない南天の星々」って、ナニ?

エジプトのカイロは北緯30度03分。これは日本の鹿児島県とほぼ同じ緯度です。
だから、夜空に見える星も日本で見れるのとほぼ一緒のはずですよね?

ということで、国立天文台4次元デジタルブロジェクトから、天体シミュレーションソフト「Mitaka」をインストール。


で、ピラミッドテキストと言うからには、ピラミッドテキストで有名なウナス王が即位したと言われる紀元前2375年のカイロ周辺の夜空を再現してみました。

ちなみにこちらが、日没直後の南の空(だと思われる)。
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なんで「思われる」かと言うと、これ、紀元前になると年月の表示がヘンなんですよ。-37日とか、-9時-29分とかナニソレ。
紀元前になってしまうと、上手く計算できないのかしら。
なので、取りあえず-2375年1月1日の日没直後(だろうと思われる)の南天の星です。


で、こちらが真夜中の南の空。
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そして、明け方の南の空です。
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こうして見ると、南天の星座はしっかり地球の自転に合わせて地平線下に沈みますよね。


参考までに、同じ日の北の空です。

日没後
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夜中
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明け方
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時間の表示がおかしいのは勘弁して下さい。
国立天文台の中の人、助けて下さい……orz)

今の北極星はこぐま座のα星ですが、この当時の北極星はりゅう座のα星でした。
こうして見ると、当たり前ですが北天の星々はりゅう座を中心に回っていて地平線下に沈みません。
「不滅の星」という意味そのままです。

とすると、やはり「ikhmw-wrdj」の「疲れを知らぬ星々」が「地平線下に沈まない南天の星々」を現わしているというのは、理屈に合わないのではないかと思われます。
と、いうことで「地平線下に沈まない南天の星」は南半球に行かない限り見られない、という結論に達しましたです。はい。