吉村作治の新発見!エジプト展

先日、「吉村作治の新発見!エジプト展−国立カイロ博物館所蔵品と−」の展覧会に行って来ました。
善光寺さんのすぐ隣、信濃美術館までお出かけです。

まず、会場に入ってすぐお迎えしてくださったのが、噂の「起き上がるオシリス神」です。
このオシリス様を見ての第一声が「うわ!ちっこい!」
スミマセン。ワタシ勝手にもっと大きい神像だと思っていました。
のべ〜んとうつ伏せに寝そべったオシリス様は全長で55cmあまり。つま先から肩までは完全に地面に伏し、頭だけを上げています。
ええっと、顎に付けた偽髭で顎を支えているような印象を受けました。
『……偽髭って、顎を載せてもへたらないくらい硬い素材で出来てるのか……?』と、斜め上なことを考えておりますと、同行した家人が「この神様、尻の位置ヘンじゃね?」と。
横から見ると、確かに身長の半分よりも上側にお尻のふくらみがぽっこりと。オシリス様のオシリの位置が高すぎます。
古代エジプト人は足が長くてスタイルが良かったんだよ」と、日本人の平均的な足の長さしかない者同士で感心しあいました。

神像は末期王朝時代の個人が持って拝んでいたような小さなオシリス神像やイシス女神像、アヌビス神像が沢山。大きい像は無く、こじんまりしていた印象です。

ふと奥の壁を見ると、死者の書の文字が目に入りました。
「うわ、でっかい死者の書!」と喜んで駆け寄ったまでは良かったんですが、
「アレ?どっかで見たことあるよーな?」
……アニの死者の書を引き伸ばしたでっかい写真パネルでした。
本物じゃなかったので、密かにしょぼーん(´・ω・`)としたりして。
こんなでかい巻物じゃ棺に入らないじゃん、と悔し紛れに一人ツッコミを入れながら、医療器具を展示している棚へ。
この上でミイラを作ったという作業台を眺めて「これ、ミイラ作ってたときのシミ?血かも知れないね」と背筋を震わせながらカノポス壷の前へ。
「この四つの顔はホルスの息子達で、内臓を守ってるんだよ」と説明すると、
「……なんでこれ、一人だけ人間の顔なの?」という質問が。
……う〜ん、いい質問だよ明智君。ごめんそれワタシわかんないや。
カノポス壷の顔は、人間とヒヒと隼と犬。なんで動物の顔の中で一つだけ人間なの?古代エジプト人、ひょっとして動物のバリエーションが無くなったのかしら。蛇でもサソリでもフンコロガシでもいいじゃんねぇ?
と、阿呆丸出しな事を言い合いながら、象嵌用のアヌビスやマフの供物台を見て、第二会場へ。

そちらでは吉村先生の発見した遺物が展示してあるようです。
まず最初に目に入ったのが、セヌウの青いミイラマスク!……のレプリカ。
「なんでレプリカやねん!」と似非関西弁でツッコミを入れながら、横にあったセヌウの棺(レプリカ)を見学。
「なんでレプリカなのに厳重にガラスケースの中に入ってんの?」という家人に(そりゃそーだよな)と心の中で同意しながらも、「そりゃ、レプリカ作るのもお金掛かるんだよ。ほらみ、セヌウのミイラマスクの剥げてるとこまでリアルに再現されてるじゃん!」とフォロー。

セヌウの棺の前を通り過ぎると、今回の目玉である未盗掘の夫婦の棺がありました。
その横では大きなモニターで吉村先生がこの棺を発掘した当時の映像が流れています。
ほうほうなるほどね、と眺めていたら、夫婦の夫の方「セベクハト」の棺の中には、もうひとつ人型棺が入っていたそうですが、ヌビア人の髪形を模った螺髪をつけたその棺は今回展示されていませんでした。残念。
「セベクハト」と妻の「セネトイトエス」の棺は、大きさは違うものの意匠が同じ「おそろい」の棺でした。
死んだ後の棺までおそろいだなんて、この夫婦はとても仲が良かったんだろうなぁと、暫しほんわかしてみたりして。

その次はチャイの棺です。これも発見当時の映像が見られましたが、足元の中心部が中にめり込んで、かなり状態が悪いように見えました。
でも、展示されている棺は綺麗に修復されています。さすがだぜ、ナディア博士!と感服しながら眺めていると、横で見知らぬカップルが「あれ〜、これはレプリカじゃないんだ〜」と感心していました。
……皆考える事は同じなのねorz

最後はクフ王の第二の太陽の船の復元プロジェクトの紹介がモニターで流れていました。
その横にあったパネルには、発掘場所のすぐ横に建てられた大型テント(倉庫?)の写真がありましたが、その扉にはでっかく「ニ○リ」の文字が……
太陽の船が眠っているのは、クフ王のピラミッドのすぐ隣。
5千年前に築かれたピラミッドの横に、でっかい「○トリ」。
ああ、ニト○さんが力を入れてスポンサーになっているのねと思ったものの、あまりにもシュールな光景にその他のものは記憶から吹っ飛んでしまいました。


売店コーナーには沢山のエジプト関連グッズが置かれていましたが、その中でお土産に選んだのは、ヒエログリフスタンプセットと、
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エジプト神様のトランプ。
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このトランプ、AからKまで、全部にエジプトの神様のイラストが描かれていて、とってもカラフル!裏も天井画に描かれた星々が書かれてますし、古代エジプトムード満点です。
でも、ジョーカーが……アメミトちゃんなのは納得できるけど、もう1枚がタウレト女神さまってちょっとひどくない?愛すべき「おっかさん」の神様なのに。
ジョーカーにするんならベス神さまの方がハマリ役だと思うんだけどなぁ。あかんべーしてるし。

ということで。
トリノ・エジプト展とかと比べちゃうと、どこか物足りなかった展覧会ですが(つか、規模的に比べる事のほうが無謀)、こんな田舎にまで来てくれるのですから、とてもありがたい展覧会でした。